ケントの演技力

どうやって覚えたのかわかりませんが、ケントは時々、迫真の演技を観せる事がありました。
もちろん、自己都合で、です。
例えば、叱られそうな気配を察したとき。
まだこちらが一言も発していないにもかかわらず、ブルブルと震えだすのです。
それこそ、歯の根も合わないといった感じで、全身でおびえを表現していました。
そんな姿に、つい、叱ることを忘れ、「大丈夫よ。」なんてヨシヨシしてしまう私は、
毎度ケントの思惑にはめられていたようです。

公園でもありました。
同じ場所から動かないケントに、たった一言「コラ!」と、リードを軽く引っ張っただけです。
なのに、半径10メートル内の人、皆が振り返る甲高い声で『キャイーン!』。
どんなにひどい虐待をしているのか、うつむく私の横で、相変わらず同じ場所をクンクン。
完全に、ナメラレていました。

そんなケントの最後の演技は、今思い出しても胸が詰まります。

去年の7月、12歳半のケントは、癌で、日に日に弱っていきました。
1日三回、いくつもの薬を与えなければなりません。
舌先に乗せただけでは吐き出すので、病院で言われたとおり、口をこじ開け、のどの奥に、放り込むのです。
ケントは、嫌がりました。
だけど、抵抗する力は、ほとんど残されていませんでした。
そんなケントが最後に観せた演技が、眠っているふり、でした。
薬を用意する気配に、眼を閉じ、スースーと寝息を立て、「よく眠っているから、後にしようか。」
ケントは、その言葉を期待していたのでしょう。

「ごめんね、ごめんね。」

泣きながら口をこじ開けた感触が、今でも鮮明によみがえってきます。

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                     11年前の今日の僕です。


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                      ちょっとシブメに決めてみました。

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